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「肺癌の統計」 肺癌になる人は世界的に増加傾向にあります。2015年には、我が国での肺癌の1年間の新患者数は男性11万人、女性3万7千人になると予想されています。50歳以上に多く、男女比は約3:1です。2002年の肺癌による年間死亡者数は約6万9千人であり(癌で亡くなった方は約34万人)、1993年からは肺癌は男性の癌死亡率の第1位となっています。2002年の統計では、癌による総死亡者数に対する肺癌による死亡者数は、男性22.4%(第1位)、女性12.7%(胃癌、大腸癌に次いで第3位)となっています。一方、罹患率(新たに癌と診断された方)は、男性15.1%(第3位)、女性8.3%(第4位)です。罹患率に比べて死亡率が高いということは、肺癌は他の癌に比較して、相対的に死亡率が高い、つまり悪性度が高く、治癒しにくいということを意味します。肺癌の5年生存率(診断されてから5年間生存されている割合)は25〜30%といわれています。検診による肺癌の早期発見は、他の癌に比較しても非常に重要ということになります。 「喫煙と肺癌」 肺癌の原因のすべてが解明されているわけではありません。それゆえ、確実な予防法もありません。しかし、喫煙が大きな危険因子としてあげられます。たばこを多く吸う人ほど肺癌にかかりやすくなり、一般に「重喫煙者(1日の本数×喫煙年数=喫煙指数が600以上の人)」は、肺癌の「高危険群」といわれています。毎日喫煙する人は非喫煙者に比べ、約4〜5倍肺癌のリスクが高くなります。また、喫煙の開始年齢が若いほどリスクが高くなり、20歳以下に喫煙を開始すると非喫煙者に比べ、リスクは6倍近くなります。1998年の集計では、我が国の20歳以上の男性の喫煙率は55.2%と先進諸国の中ではトップです。また、20歳以上の女性の喫煙率は13.3%です。喫煙は喫煙者本人だけでなく、まわりの人にも影響を及ぼすといわれています(受動喫煙)。10〜20%の肺癌は、喫煙と関係がないといわれています。 「肺癌検診」 昭和62年から老人保健法により、各市町村で胸部レントゲンによる肺癌検診が導入されています。1991年には、肺癌検診受診者数は550万人を超え、このうち2,200人が肺癌と診断されています。検診で発見された肺癌の比率は、全肺癌の10%未満ですが、咳、痰、血痰などの自覚症状で発見された肺癌に比べ、検診で肺癌が発見された場合は早期のものが多い結果となっています。しかし、胸部レントゲンによる肺癌検診が肺癌の死亡率を低下させるかどうかには疑問がもたれています。最近は、ヘリカルCTと呼ばれる肺のX線断層検査が約15秒間で行われるようになり、より小さな肺癌も発見されるようになっています。CT検診によって肺癌の死亡率を低下させるかどうか、医療経済的に有用性があるかどうか、現在研究されています。当院でも、最新のマルチスライスCT (16列)を導入して積極的に肺癌検診を行っています。毎日午前中外科外来にて受け付けていますので、興味ある方、愛煙家の方はぜひご利用ください。 胸部レントゲン発見の症例 検診の胸部レントゲンで発見されました。直径2cm程度でかなり小型ですが、すでにリンパ節転移を認めました。左上葉切除術を施行されました。
検診の胸部レントゲンでは確認できません。CTを撮影すると明瞭に指摘できます。早期癌でリンパ節転移は認めませんでした。左下葉切除術を施行しました。
検診の胸部レントゲンでは確認できません。CTでは指摘できます。早期癌で左下葉部分切除術で根治可能でした。
「肺癌の診断」 組織診断 画像診断(CT)により癌を疑った症例には、組織診断を行います。 (1)気管支鏡検査 太さ5〜6mmの気管支鏡を使って、気管支の壁から細胞をとったり、組織の一部をとり、検査します。 ![]() (2)CTガイド下生検 CTで目標を定め、針を病巣に命中させ組織をとります。 ![]() (3)胸腔鏡下生検 胸の皮膚を小さく切開し、そこから肋間を通して胸腔鏡を胸腔に挿入し、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部を採取するものです。採取した組織を顕微鏡で癌細胞がないかどうか検査します。 ![]() 「外科療法」 肺癌が早期の場合に行われます。手術方法としては、肺の患部を部分切除する場合、肺葉切除(右肺は上葉、中葉、下葉と分かれ、左肺は上葉、下葉と分かれていますが、そのひとつか2つを切除すること)する場合、片側の肺をすべて切除する場合があり、リンパ節に癌があるかどうか確認するためにリンパ節郭清も行います。臨床病期I期からIIIA期の一部が手術の対象となりますが、心臓や肺の機能障害がある場合は手術ができないこともあります。また、胸腔鏡を使用した低侵襲手術も進歩し、当院でも多くの症例で応用しています。 「抗癌剤による化学療法」 化学療法の治療成績は、まだまだ満足できるものではありませんが、少しずつ向上してきています。特に、副作用の軽減には目覚しい進歩があり、現在では、外来通院で投与可能な抗癌剤(カルボプラチン、ビノレルビン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ゲフィチニブ等)が開発され、その投与方法も工夫されています。当科では、診断時から(手術でなく)抗癌剤を投与される方はもちろん、手術の前後に抗癌剤を投与される場合においても、日常の生活を重視して、患者様の体力に応じた抗癌剤の選択、投与量の決定を行い、可能な限り外来で行っています。 興味ある方は何でもご相談ください。 地域医療連携室(082-820-1747)までご連絡ください。 「当科が参加している臨床研究」 1、WJOG(NPO西日本がん研究機構)4607:肺野末梢小型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と縮小切除(区域切除)の第III相試験 2、瀬戸内肺癌研究会 多施設共同臨床第III相試験 非小細胞肺癌完全切除症例に対する術後補助化学療法の検討:カルボプラチン+パクリタキセルとUFTとの無作為化比較臨床試験 「当科における肺癌手術後生存率」(2004年―2009年) ![]() 再発胃癌に対する化学療法について |
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