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病気の基礎知識


片頭痛について 神経内科医長 亀井英一

頭痛を生涯体験しない人は滅多にいないだろうと思います。風邪や二日酔いの頭痛などは日常よく経験するものです。成人の4割がいわゆる頭痛持ちだというデータもあります。
頭痛には種々の病態があり、なかには脳出血や髄膜炎などの重篤な基礎疾患を有するものもありますが、多くの場合は機能性頭痛といわれるもので、特に器質的異常なく生じるものであり、慢性に繰り返し起こるのが特徴です。
代表的な機能性頭痛としては、(1) 緊張型頭痛、(2) 片頭痛、(3) 群発頭痛があります。
このうち、今回は日常診療上よく遭遇する片頭痛を取り上げようと思います。

よく外来に、「片頭痛がするんです」といわれて受診される患者様に出会います。頭の左右どちらかが痛むということなのですが、医学的に言う片頭痛はこれとは異なり、頭蓋内の拡張した血管の拍動痛による頭痛をさします。従って、片頭痛の痛みは心臓の鼓動とともに「ズキンズキン」と拍動するような痛みで、咳をしたり、歩いたりすると頭に響くように増悪するのが特徴です。多くはズキンズキンとした痛みは数時間程度ですが、痛みのピークでは吐き気や嘔吐を伴って動けなくなるようなケースもあり、日常生活や社会生活に大きな支障になることが少なくなくありません。 
片頭痛のなかには、閃輝性暗点(目の前がキラキラ光って見える)などの前兆がみられるものがあります。片頭痛の原因は頭蓋内血管の拡張によると先ほど述べましたが、拡張するまえに原因血管がいったん収縮するとされ、この際の乏血症状として閃輝性暗点ような前駆症状が見られると言われています。稀な例では、前兆としてしびれなどの感覚障害や片麻痺などを呈することもあります。

次に片頭痛の治療ですが、大きくわけて (1) 予防的治療 (2) 痛みのひどいときの治療(頓服薬)の二つにわけられます。片頭痛は睡眠不足や過眠、飲酒、チョコレート、チーズ、コーヒーなどの摂取が誘因になることがあり、予防としては、まずそれらを避けることが重要です。予防効果の知られる薬剤はアミトリプチリン、バルプロ酸、プロプラノロールなどがありますが、保険適応があるのはCa拮抗剤のロメリジン(ミグシス)のみであり、頭痛の頻度の高いケースでは使用します。頓服薬としては、多くのケースではNSAID が有効ですが、効果が不十分なケースでは最近発売されたトリプタン系の薬剤が有効です。NSAIDは安価であり使用しやすい薬剤ですが、それだけに服用量がいたずらに増えてしまうことがあり、薬剤性頭痛へ移行するなど治療に難渋するケースもあるため注意が必要です。トリプタン系の薬剤はセロトニン受容体作動薬であり、(1)脳血管の収縮(2) 三叉神経系の刺激伝導抑制(3) 三叉神経末端における神経ペプチド放出抑制と神経原性炎症の抑制作用などにより、片頭痛を効果的に押さえるものと考えられています。虚血性心疾患や脳血管障害などの血管障害の既往のある場合は禁忌であるが、副作用は一般的には軽度です。剤形も通常の錠剤に加え、口腔内崩壊錠、皮下注、点鼻薬などがあり、嘔吐の見られるケースでも使用が可能です。ただ薬価は高く(1錠1000円程度)、頭痛が頻回である場合は問題になります。通常はこの2種類の薬剤でコントロールされることが多く、以前よく使用されたエルゴタミン製剤を使うことが減りました。片頭痛は症状の強い場合は動けなくなるほどですが、適切な診断、治療がなされれば、改善が得られるケースが多く、まず、神経内科や脳外科など専門医に受診、相談されることが重要だと思われます。



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